特別対談「日本美術史を読み直す −『ひらがな日本美術史』完結を機に−」:橋本治+浅田彰@新潮8月号
ありそうでなかなかない対談なので読んでみたが、おもしろかったので、面白かったところを抜き書き。
浅田 つまり、純日本的なものというのは、漢字に対する仮名のように、外部からのインパクトを受容する過程で捏造された「起源」なのではないか。
もっともらしいけど、その仮名の前にあったものはなんなのだろうな。文字がなければ何も残っていないから、何とも言えないけど。でも、今我々が純日本的と考えるものはそうなんだろうな。
橋本 本居宣長という人は定説に縛られないで、自分の感性で考える人だったはずなのに、その人をルーツにしていつの間にか定説というものが出来上がっていて、それと違う考え方をすると変だということになったのは何故?という感じなんです。
これは良くある話というか、この世の中、全てそうですな、と、オッサン的には思っちゃうけど、そういうところに執拗に拘る橋本治の精神の若さみたいなものって凄い。
橋本 近代の日本画の最大のネックは、その人の持っている嫌な部分が描けない。なんかみんないい人になるんですよね。
それは狭い内輪と言えるようなパトロン向けに書いていた近代以前では、楽屋落ち的なことが出来たけど、近代ではそういうことが出来なくなってしまったということなのかなあ。
橋本 つまり、職人というのは自分はそれでいいと思うけれども、お客さんがそれでいいと思うかどうかはまた別だ、という二律背反の中にいる。近代の画家にはそういうところがない。
芸術家と職人って、実は職人の方が面白いし、ずっと凄いことやってたりするんだよな。自分の中で内向きに考えることって、結局限界あるもんな。
なんか、大人の対談という感じ。それにしても、日本美術について浅田先生がこんなにブツのって始めて読んだな。この人は知らないことってないのかな?唖然とするよりも、まず、笑っちゃうんだけど。
金比羅宮の展示会も始まったみたいだし、そのうち観てこようかな。
asahi.com : 朝日新聞社 - 金刀比羅宮 書院の美−応挙・若冲・岸岱−
http://www.konpira.or.jp/menu/master/menu.html
7冊は長いけど、面白そうなとこだけでも読んでみようかな。
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