今週、なんか忙しくて、と言う間にデヴィッド・ボウイの"Young American 30years Edition"が発売になっていたよ

ヤング・アメリカンズ・スペシャル・エディション(DVD付)

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 これも30周年でいつの間にか出てしまっているみたい。なんか、中途半端な企画ものという嫌な予感がするけど、買っちゃうのかなあ〜。バリバリグラムでケバケバの世界の3部作とテクノでクールな3部作の狭間のアルバムで、系列としては"Pinups"の趣味路線かなぁ〜、という気もしないではないけど、自分の趣味としてはこういうソウルでポップなもの好きなので、趣味レベルで波長が合っている気がして、すんごく好きな1枚なんで、騙されても良いかと思っちゃうんだよな。
 "Young American"にしても他の何にしても、曲としては滅茶苦茶良い曲だと思うんだけど、このアルバムのテーマであるアメリカに対して、自分の好きなソウルに対して、自分とその本家の距離がちゃんと測られていて、それが安直な批評とか揶揄でもなく、Respectつうか尊敬、憧れでありつつも、全てを無条件に委ねるんじゃなくて、あくまでイギリスの白人である自分としてアメリカの黒人文化に対して払える最高の尊敬、レスペクトをこめて、黒人文化であるソウルミュージックを白人である自分の音楽として、踏み越えられない一線の距離を踏み越えないままに、自分の音楽として表現して見せているのは、本当に感動的だと思う。その踏み越えないことがレスペクトなんだと思う。それを越えようとすると、黒人の物真似になっちゃうし。ギリギリまで近づきたいと思うののが憧れ。でも、越えないのが尊敬。なのに、作品として超越してしまうのが才能。そういうデヴィッド・ボウイの文化的な繊細さって本当に感動的だと思うし、人間として尊敬してしまう。きっと、これからもずっとこれは時々聞きながら生きていくんだと思う。
 そのプラスチック・ソウル・アルバムにビートルズの"Across The Universe"とJohn Lenonとの共作の"Fame"が入っているというのは、深い。実は、ビートルズのカバーって、当然といえば当然だけど、ビートルズを超えられないものが殆どだ。「あ、そういうやり方もあるにはあるのね、面白いね、じゃ、ビートルズのオリジナルまた聞いてみるよ」ということになりがちなんだけど、この"Across The Universe"は良い。なんか、「ビートルズって黒人音楽の一番優れたポップ化だよね、ホラ、こんな風にさ。」と言っているみたいで。