「どろろ」:監督 塩田明彦

どろろ オリジナル・サウンドトラック

138分、東宝、PG-12
監督:塩田明彦、アクション監督:チン・シウトン、原作:手塚治虫
出演:妻夫木聡百鬼丸)、柴咲コウどろろ)、瑛太(多宝丸)、原田美枝子(百合)、杉本哲太(鯖目)、麻生久美子(お自夜)、土屋アンナ(鯖目の奥方)、劇団ひとり(チンピラ)、中村嘉葎雄(琵琶法師)、原田芳雄(寿海)、中井貴一(醍醐景光

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どろろ - Wikipedia
http://dororo.sega.jp/
http://ja.tezuka.co.jp/manga/sakuhin/m060/m060_01.html
http://event.movies.yahoo.co.jp/theater/dororo/index.html
映画『どろろ』公式ブログ “どろログ公式” - Yahoo!ブログ
 ああ、何だか、久しぶりに映画を見たような気がする。余り期待せずに見に行ったのだけど、結構面白かった。これ、どこで撮ったんだろう?と思ったけれど、ニュージーランド(「ラスト・サムライ」もそうだったらしい)だというのを最後のタイトルロールで知った。やはり、地平線が見える風景は絵になる。衣装や髪型も半分中国風だったり、オイオイ、これどこの話だよ?戦国時代の設定じゃないの?とも思ったけれど、マンガが原作なんだし、何も馬鹿正直にやることもないし、ニュージーランドでやるなら、そういうこと言っても仕方ない、という割り切りがあったのが良かったと思う。日本映画は日本の風景でないと撮れないという変な思いこみをしがちなのかもしれないけれど、別にニュージーランドでも違和感はなかった。画面のトーンをどぎつくセピアっぽくしたような色彩でまとめていたり、岩山のシーンが多かったりしたので、その辺は気にならなかったのかもしれない。植物の植生は違うはずだから、それが気にならないような風景となると、ああなるんだろうか。道理で西部劇っぽいはずだ。
 マンガが原作だと、大仰な怒鳴り芝居かもしれないなあ、それは嫌だなあ、と思いつつ見に行ったのだけれど、柴崎コウどろろはその怒鳴り芝居なんだけど、嫌な感じはしなかった。本当は女なのだけれど故あって男のフリをしているという手塚治虫に良くあるパターンの役柄なのだが、女だけど男を演じるという虚構と怒鳴り芝居の嘘っぽさのフィクションとしてのレベルがぴたりと一致していたのかなと思う。アクションも吹き替えではないシーンでもバリバリやっていたし。妻夫木聡も良かった。こういうフリークスの役なので、こういう美形を持ってこないと面白くないんだよな。キャスティングも良かった。中村嘉葎雄原田芳雄みたいな人が出てるとやっぱり締まる。他のキャストも豪華。
 こういう映画だと、ワイヤーアクションの格闘とか、CGの出来といった『性能』面で結構評価されてしまうんだろうな。そこは、まあ合格点は十分にクリアしてると思う。ワイヤーアクション自体は、何だか見飽きたかなあ、という気がする。あれは、動きがどうしても遅くなるし、一瞬止まるような動きもお約束という感じになるし、飽きが来るんだと思う。妖怪の造形も結構頑張っていたかなあ、と思う。でも、R−12という割にはおどろおどろしさが物足りなかったかなあ。ポップコーンを食べながら見ていたんだけど、「げ〜、気持ち悪くて、これ見ながらモノ食えね〜よ〜」というシーンもあるかな、と半ば期待しながら見ていたけど、最初の地獄堂のネズミのアップ以外はポップコーンを口に運ぶ手は止まなかったなあ。20億円かけただけあって、貧乏くさくて笑っちゃうような所はなかったし、良くできていたし、楽しめたけど、もっとおどろおどろしく気持ち悪くても良かったかなあ、という気がする。暗闇が暗闇じゃないし、百鬼丸が体を取り戻す所なんて、もっと気色悪くても良いと思うのだけれど。せっかく、あんな美形に化け物やらせているんだから、ファンの女の子が「や、や、やめて。。。ぁ、ぁ、あんな姿にするなんて(涙)」と怒るくらいやった方が本当は良いと思う。それをファンも深層心理では期待している訳だし。ただ、そこまでやると、この話は身体障害や差別などにも引っかかりそうだし、映画化しただけでも偉いのかな、とも思う。でも、やるならそこまで行けよ、と思う。
 マンガはそうじゃないとか、色々、言う人はいるだろうけれど、これはこれで映画としてまとまっていたかなあという印象。化け物は後半分残っているんだけれど、一番肝心の親爺を倒してしまった訳だし、元々マンガでは中断などもあったりしたようで未完に近いような終わり方でもあったようなので、これの続編があるのかどうかは微妙な気がする。当たればやると言うことになるんだろうけれど、もう百万人突破したみたいだから、やっぱりやるのかな。でも、こんな古いマンガが原作の映画をどこの誰が百万人も見ているんだろうなあ。原作よりも、役者で見に来ていると言うことなのかな。妻夫木聡って、映画良く出てるなあ。年に3,4本映画出てるし、タレントと言うよりも役者という感じだなあ。
 カルトな原作の割にはカルトっぽいノリが物足りなかったけれど、充分合格点という感じかなあ。

どろろ(1) (手塚治虫漫画全集)

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