スティーブ・ジョブズはダークサイドに落ちたのか?

「4大レーベルはDRMを捨てよ」、Appleのジョブズ氏が提言 - ITmedia NEWS
「レコード会社はDRMの放棄を」--アップルのジョブズCEOが公開書簡 - CNET Japan
ジョブズからの手紙:「DRMは無意味だし、今後も決して役に立たない」 - Engadget 日本版
 ついに、本音を言ったなあ、という感じ。絶対、最初からこう思っていたんだと思う。今なら、言っても大丈夫、と見極めて、勝負に出たんだと思う。実際、今の状況を見てみれば、彼が言う通り、DRMなんて無意味である。破ろうと思えば、すぐ破れるし、コピーコントロールCDがユーザーに拒絶されて、元の普通のCDを出し始めたところで勝負はついていた。既存のレーベルにしてみれば、コストをかけてDRMを開発・導入しても、売り上げが増える訳ではない。その点、Appleは気楽だ。これまで、音楽なんて関係ない会社だったのだから、失うものは何一つ無い。ここまで音楽産業が成長するのに何の貢献をした訳でもない。それでも、時流に乗って、音楽産業・家電産業に見事に割って入って、ここまでプレゼンスを築き上げたのだから、やっぱりビジネスの天才だよな。この駆け引きの勝負勘にはほれぼれする。
ハッカー「DVDヨン」、スティーブ・ジョブズ氏に反論 - ITmedia NEWS
 デジタルコピーは原理原則から言ったら、絶対著作権侵害になるので、水掛け論にしかならない。しかし、これだけデジタル音楽プレーヤーが普及してしまえば、もう後には戻れない。技術の普及のスピードが法律制定のスピードを上回ったということだ。既成事実化に成功した、と判断したと言うことだ。
 レーベル会社がDRMを放棄するか、とか、AppleがFairPlayを放棄するか、とか、もう実質的には大差ないのではないだろうか。しかし、レーベルにとって一番有効なのは、CDを売るために、AppleにはDRMを守らせ、自分たちはコピープロテクトのかかっていないCDを売ることだ。そうすれば、CDのデジタル音楽配信に対する利便性は守れる訳だから。これに乗っかって、レーベルがDRMを止めるとは思えない。レーベルにしてみれば、自分たちがDRM無しで直販するのはOK、AppleはDRMちゃんとつけろ、と言いたいくらいではないのか。
http://blog.livedoor.jp/tomsatotechnology/archives/50067272.html
 こういう感動的な話ができる人なのだけれど、そんな綺麗事だけでここまでやってこられた訳でもあるまい。泣かせて、笑わせて、喜んでお金を払わせる、これぞ天才経営者ということだろうか。