映画館と観客の文化史
- 作者: 加藤幹郎
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2006/07/01
- メディア: 新書
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- アメリカ文化史としての映画館の歴史では、ドライブインシアターの辺りが面白かった。遊園地と一体であったとは知らなかった。
- それと、移民と差別の歴史としてのアメリカ映画史という観点。それは画面の中にも反映されているけれど、その画面を見ていた人たちは誰なのか、ということも知らないと、画面を見るだけでは分からないこともある。ユダヤ資本の興隆、イタリア移民のノスタルジーの捌け口など、興味深い。故郷を捨ててきたもの達の故郷へのノスタルジー。
- 日本編では、映画と演劇の融合した「連鎖劇」というのは面白かった。こういうのは、今でも別な形で出来るんじゃないだろうか。ただ、実際は難しいけど。数年前のニール・ヤングのコンサートもそんな感じだったけど、まあ、中途半端な学芸会だったなあ。。。
- 映画都市京都。劇場の冷暖房設備導入の話とか、新聞の「きょうのロケ」コーナーとか面白かった。昔は、マキノにしても、松竹、大映、みんな京都が撮影所の中心だった。それが全部東京中心になった時期というのは、多分テレビで役者が忙しくなり、スケジュールも組めなくなって、というような時期なのだろうか。京都の意固地なまでのこだわりと文化に対する姿勢というのは、やっぱり面白いし、国際的な観光地でもあるだけに立派なもんだと思う。
- ハッテンバとか、「眠る男」を見ながら眠る男の話、最後のオマケの雑談かもしれないが、これもこれで面白い。
- 日本とアメリカ以外でまだまだこの分野で書かれなければいけないことは沢山あるんだろうな。こういう写真はやはりカラーで見たい。続編はカラーの写真ムックみたいな形で出して欲しい。