UA×菊地成孔@日比谷公会堂

cure jazz

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 うっかり野外音楽堂と思いこんでいて、開演ぎりぎりに飛び込む。席につく前に係員に止められて最初の2曲くらい立ち見する。1曲目"Over the rainbow"は、いきなり思い切り間合いをとりながら始まる。ダブが軽くかかっているのがイイ感じ。まだ入ってくるお客もいるのに、ハイテンションでいきなり難易度の高いスタート。それにしても、UAは背が高い。胸が大きく空いたセクシーな緑のドレス。鼻血ブー。菊地成孔は、ホストっぽいスーツに細いサングラス。ピアノ、ハープ、ベース、ドラム、キーボードのバンド構成。
 当然最新アルバムのジャズスタンダード中心。見ていて誰もが思うのは、菊地成孔が結構暇で楽そう(笑)。サックスとボーカルが中心だと、ほぼボーカルが2人いるようなものなので、半ば指揮者みたいな感じになる。でも、ジャズって軽くリズム取るくらいで踊らないから、やっぱり暇そう。
 演奏も良かったけれど、UAのリズム感の良さってなんなのだ、この人は?アンコールのMCで、「子供の相手する時間が多いと、音で話する方が多くなっちゃって。○×△、□☆◇???」(ピアノが合いの手)「宇宙人みたいだ(笑)」というやりとりがあったけど、本当にそんな感じ。MCはあまり得意じゃない感じだったけど、言葉じゃなく音、歌じゃなくて音、声じゃなくて楽器という感じ。言葉にならない歌を歌える人。
 これをスイングしているというのだろうか。ジャズのスイングしているというドライブ感よりも、アフリカの打楽器中心の音楽なんかにむしろ近い感覚なのかもしれない。スタンダード曲をこんな今っぽいセンスでありながら、きちんとやるというのは、すごいよな。壊しているのではなくて、正に脱構築している。
 ウイスキー飲みながら、聞いていると本当に気持ちよかったけど、ああして椅子に座ってじっと聞くようなのって、やっぱり苦痛だな。どうせなら、野外でやって欲しかったなあ。