「力道山」
http://www.sonypictures.jp/movies/rikidozan/
上映時間 149 分
製作国 韓国/日本
監督: ソン・ヘソン
出演:
ソル・ギョング Sol Kyung-gu 力道山
中谷美紀 綾
萩原聖人 吉町譲
鈴木砂羽 沖浜子
山本太郎 葛西紘一
船木誠勝 井村昌彦
パク・チョルミン キム・ミョンギル
ノ・ジュノ キム・イル(大木金太郎)
藤竜也 菅野武雄
秋山準 遠藤幸吉
モハメド・ヨネ 豊登
武藤敬司 ハロルド坂田
橋本真也 東浪
マイク・バートン ベン・シャープ
ジム・スティール[プロレスラー] マイク・シャープ
リック・スタイナー アトミック
仙波和之 二所ノ山親方
岩本宗規 田村健一
マギー ニューハバナクラブの司会者
岡本麗 中年女性
梶原しげる 実況アナウンサー
面白かった。馬場も猪木も出てこなくて、力道山の弟子というと大木金太郎なんだな、韓国から見ると。力道山が朝鮮人だというのは知っていたけれど、当時にしてみれば関係者はみんな知っているけど公には話しては行けない「公然の秘密」という感じだったんだなあ。こういう特殊な言説空間が存在出来たというのは、この映画でも出てくるヤクザとの関係があったからなのだろうな。今でも、こう言うのは、ヤーさんの周りだけはいっぱいあるんだろうな。
「朝鮮がオレに何をしてくれた?あのまま故郷にいても、鉄砲の弾除けにでもされて死んでいた。オレに選べたのは、アメリカ製の銃弾で死ぬか、ソ連製の銃弾で死ぬかと言うことくらいだ。いや、それすら選べなかったかもしれない。」
朝鮮人参を届けられても、「朝鮮語を話す知り合いはいない。ちょっと成功するとみんな寄ってくる。」と言っていた力道山が誰も信じられなくなり、昔からの友達の焼肉屋にお忍びで立ち寄り、北への帰国運動に参加する友達に言った言葉。
「笑っていると、貧しい朝鮮人が何が楽しくて笑っているんだ、と殴られる。だから、オレは成功しようと心に決めたんだ。」
最後に大木金太郎に話すセリフ。
ソル・ギョングの不器用な感じが良かった。ガタイがやはりもう少し欲しかったなあ。中谷美紀は、ちょっとこの役には垢抜け過ぎかな。鈴木京香あたりの方が良かったかもしれない。藤竜也が最高。橋本真也が出てたのが、ファンには感涙ものでしょう。
力道山がアメリカで見たものって、結局なんだったんだろうな。民族や国籍もどうでも良いことに思えてくるようなこの世界の大きさだったのだろうか。また、力道山が人を信じられなくなっていく過程って、なんだったんだろう。八百長や筋書きを強要されたあたりの軋轢がきっかけになって、広がっていったと言うことなんだろうか。彼の死因についても、輸血の血液型のミスとか、色々な説がある。余り深く踏み込まないことで、エンタメ性が上がっているし、そこを今描こうとすると伝記の枠を大幅に踏み越えてしまうのかもしれない。それでも、やっぱり、題材の面白さの勝利だと思う。
日本人が本当の姿を知らない日本のヒーロー、力道山。韓国では力道山って、どういう報道されていたんだろう?あのころTVどころだったわけ無いし、そもそも、韓国も戦争や軍事政権だったわけだから。
今の嫌韓流って、単なるXenophobiaという趣が強い。自分の主張を日本の主張より優位におくことが不愉快だ、と言う反発が強すぎて、議論以前のレベルにある反応ばかりで、議論になっていない感がある。日本にも韓国にも中国にも、うんざりするようなエゴはある。そのエゴに一々関わり合う必要はお互い無い。しかし、エゴは無くならない。それはそれで、話は進めましょう、と言うレベルにまでこないと、本当の国際交流というのは進まない。ヨーロッパだってそうだ。そう言うレベルにまで東アジアの諸国が達するには百年くらいかかるんだろうな。それまでは、個人間の関係がまず重要なんだと思う。
- 作者: 中村祐介,ソンヘソン
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