マイケル・ジャクソン、三島由紀夫、ルードヴィッヒ

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 マイケル・ジャクソンのこの奇行を見ていると、三島由紀夫の「豊饒の海」4部作を思い出す。第一部の悲恋の若い華族が、第二部では愛国のテロリスト、第三部ではタイの王女、そして第4部では偽物として転生するあの話だ。黒人の兄妹で結成された愛らしいアイドルグループの末っ子が、やがて青年となり、世界最高のスーパースターとして栄光の限りを極めてポップミュージックのキングとなり、スキャンダルを経て怪物とも偽物ともつかぬ存在に変わり果てていく。もしくは、彼をアメリカのルードヴィッヒとなぞらえても良いのかもしれない。
 ランボーのように異国の旅の彼方に消えていくようなロマンチズムやエキゾチズムを生み出す闇は、情報の網を世界中に張り巡らされた21世紀には有りはしない。60年代のロックスターのように薬物や事故で死んでいくような青春の美学は、21世紀は許しはしない。メディアは、一度頂点を極めたものを死ぬまで解放しないだろう。死ぬまで、彼の人生は世界の慰み物にされるだろう。
 まるで、「私から目を背けよ!」と言わんばかりに報じられる彼の奇行の数々。それは、どこまでがメディアの作り上げる虚像なのだろうか?どこからが彼の狂気なのだろうか?確かなことは、誰も彼から目を背けたりしないことだ。彼が破滅して死に至るまで、我々は彼を見つめ続けるだろう。我々は我々自身の視線によって、メディアを操り、彼をいたぶり続けるのだ。我々は彼を殺そうとはしない。彼は我々の玩具だから。しかし、いつの日か、ふとした弾みで、彼は死んでしまうだろう。そのとき、初めて我々は彼に対する哀れみを感じるのだろう。そして、彼を殺したのが、我々であると言うことには、我々の誰一人気づかないだろう。
 どんな音楽よりも彼の生き様が彼の作品だという気がする。。

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