「日蝕」:平野啓一郎
- 作者: 平野啓一郎
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2002/01
- メディア: 文庫
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題材としては、M・ユルスナールの「黒の過程」を思い出したけど、あれは過去の時代を今小説の中で生きてみせる、という、それ自体が魔術的・奇跡的な小説だけど、これはそういう小説ではない。そもそも、中世の仏蘭西を舞台にわざわざ戦前の翻訳調で描いてみせるというのが、どうにもいかがわしい。その意味で、これは仏蘭西を内容的には舞台にしているが、日本の翻訳小説が形式的には舞台なのだ。