「海辺のカフカ」: 村上春樹
今さらながら、今週末はこれを読んでいた。「ノルウエイの森」以来だろうか、村上春樹を読むのって。何だか、あそこで、村上春樹の原点をむき出しで見てしまって、何となくげっそりしたところもあって、長いこと手が伸びなくなっていたような気がする。まあ、それ以前の彼の作品も読んでいれば、あそこがトラウマと言うか、深いしこりになって彼の小説が出来ているというのは分かり切っていたのだが、それをそのままむき出しで書かれたものを読んでしまうと、じゃあ、あの美学って何だったの?と言う気がして、作者としてはこれを吐き出さないと先へ進めないとか、色々それは当人にとってはあるのだろうけど、何だかあまりに私的なものを見てしまったような気がして、ちょっと疎遠になっていたというのが、「ノルウエイの森」以降の村上春樹の小説と私のこの10年だった。
文庫になったので、ふらっと買って読んでみた。15歳の少年。高知の私設図書館(実在しているんだろうか?これ、リンクも切れてるし、嘘くさいなあ。でも、良くできてるね。あ、やっぱり、実在しないらしい)。夜行バス。山小屋。…。いいなあ、この世界。ありえないよなあ。会社やめて、地方の図書館司書とか、誰も来ない美術館や博物館の学芸員になりたいなあ。と、資格もないのに思ってしまうよ。これ読んだ人はきっとみんなそう思うよ。多分、日本人でも、外人でも。それが、村上春樹の魅力なんだろうなあ。
久しぶりに読んだ村上春樹の感想としては、むしろ、ナカタさんのおもしろさの方が意外。村上春樹ってこんなに面白かったっけ?こんなにポップで笑えたっけ?短編では確かにこういう芸もあったけど。
でも、この本が出た2002年の15歳が、レディオヘッドとプリンスかなあ?なにはともあれ、あと150頁。さあ、今晩中に読んでしまおう。
- 作者: 村上春樹
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