イタリア映画祭 (4) 5月1日
- 3日目にはいると、疲れてきたので、寝坊。10:30からのH「スリー・ステップ・ダンス」はパスして、後の2本を見る。
- 13:15 A 「愛はふたたび」L'amore ritrovato (Carlo Mazzacurati)
- 2004年/108分/監督:カルロ・マッツァクラーティ
- マヤ・サンサって、良い女優だなあと思った。大きな口が笑うと開放的で、きっと鋭い目が知的で強い意志を感じさせる。ミック・ジャガーとジャンヌ・モローを足して2で割ったような感じ。マルコ・ベロッキオの『夜よ、こんにちは』が楽しみになってきた。でも、毎回同じ予告編を10回も見せられると、謎めいたうまい予告編だけに、これはどういうシーンなんだ?とフラストレーションが溜まってくる。あのエレベーターに書かれているのは、ひょっとして『赤い旅団』のシンボルマークなのだろうか?
- 映画自体は、第二次大戦中の不倫物なのだけど、ジョヴァンニの妻子が終わり近くまで出てこないのがうまい。彼の家庭が隠蔽されているので、途中まで後ろめたさとか不貞のような気がしない純粋な恋愛映画であるかのように見える。彼も優しそうな良い役者だなあ、と思った。なかなか良かった。主演二人の演技力の映画という感じ。
- 15:20 座談会 (入場無料)
- オリヴィアちゃん、おばあさんのこと聞かれるの、凄く嫌そうだった。そりゃ、日本に来てまで、七光り扱いされたくないだろうな。ロマノフちゃん、いきなり大勢の前でパンティー1枚で踊らされて、度胸がついて、後は何も出来ない物はないと思った、というのが可笑しかった。そりゃそうだよな。こうして、化けて、女優になっていくんだなあ。ソルディーニ監督、自分の過去の映画からの影響は30%は日本映画で、後はヨーロッパ映画だ、アメリカ映画からは影響を受けていない、好きだったのはアントニオーニ、というのが、成る程、そんな感じだなぁ、と納得。フェラーリオ監督の、12万人の田舎町で6000人会員のシネクラブ立ち上げた、という話聞いて驚いた。ステファノ・アッコルシが、『最近はみんな古い映画を見ようとしないんだ、例えば、『自転車泥棒』見た人この中にどれだけいる?『甘い生活』見た人この中にどれだけいる?試しに手を挙げてみて』と言ったら、殆どの人が手を挙げてしまい、へこまされて、『そうか、分かった、お前ら、シネフィルの連中か、でなきゃ連休中にこんなところに来て俺の話なんか聞いていない!』とぶつぶつ言っていたのが可笑しかった。ジョルジョ・パゾッティ氏は、とにかく受けを撮ろうと一生懸命サービスしていて、いい人だなあと思った。
- 17:40 D 「真夜中を過ぎて」 Dopo mezzanotte (Davide Ferrario)
- 2004年/93分/監督:ダヴィデ・フェラーリオ
- このトリノ映画博物館って、ちょっと行ってみたくなるような凄い建物。モーレ・アントネッリアーナと言うらしい。公式HPは、
- ちょっとぎくしゃくした感じの喜劇で、そこがトリュフォーっぽいと言えばそうかもしれないけど、あんまりそんな気もしない。アマチュアリズム的なところが良くも悪くもある。そこで好き嫌いは別れそう。主人公は、バスターキートン意識して、しゃべらない、ぎくしゃくした動きを強調してるけど、キートンと言うより、ジャン・ピエール・レオ(というと、『コンタクト・キラー』になってしまうが)の出来損ないみたいで可笑しかった。その辺のギャグのセンスは、カウリスマキ兄弟とかジム・ジャームッシュみたいな線狙っているのかな?
- ここまでで大体見た訳だけど、今年は去年の『輝ける青春』や『子供たち』のようなクラスの圧倒的な作品はなかったと思うけれど、それぞれ佳作が並んだかなあ、という印象。個人的に特に良かったのは、「家の鍵」(監督:ジャンニ・アメリオ)、「ママは負けない」(監督:フランチェスカ・コメンチーニ)、「私をここから連れ出して」(監督:トニーノ・ザンガルディ)といったところか。「ローマの人々」(監督:エットレ・スコラ)は、もう1回見ようかな?EUも経済的には大変そうだけど、文化の底力というか、文化は大切であるという価値観を彼らは本気で信じているのだと言うことを改めて実感した。アメリカ人や日本人が「文化は大切だ」と言っても真に受けられないが、国とか良心的な知識人のレベルではやはりヨーロッパは偉いと思う。