「大杉栄」 高野澄

大杉栄 (Century Books―人と思想)

大杉栄 (Century Books―人と思想)

  • 今にしてみれば、大杉榮の言葉は、単純ではあっても、美しい。

春三月、縊りのこされ花に舞う

明治四十四年、大逆事件判決に際して。

征服の事実がその頂上に達した今日においては、階調はもはや美ではない。美はただ乱調にある。階調は偽りである。美はただ乱調にある。(「生の拡充」)

美しいなあ。

魔子よ 魔子
パパは今
世界に名高い
パリの牢やラ−サンテに

1923年、パリのメーデーで演説し、逮捕され、獄中で作った詩。長女にこの名を与えたのは、”世間が悪魔と呼ぶ親の子なら魔子が相応しいのではないかという挑戦であった。”そうだ。他の子供の名前は、ルイズ、ネストル、エマ。

君は僕の敵だ。
僕は君の敵だ。
君は僕がやるに違いないと思い、
僕は君がやるに違いないと思う。
あらゆる悪意と暴行とに対して、
民法や刑法の幾千条を定めた。

これが
君と僕の社会だ。
君と僕との監獄だ。(「社会か監獄か」)

お勉強したところで、改めて「エロス+虐殺」完全版を見るのが楽しみになってきた。