終戦のローレライI

終戦のローレライ(1) (講談社文庫)

終戦のローレライ(1) (講談社文庫)

  • 文庫本1巻目。これだけやたら薄い。まず1冊目を気軽に手に取らせようという戦略か?映画には出てこないキャラクターやエピソードがいっぱい出てくるので、びっくり。艦長は役所広司さん、折笠征人は妻夫木聡さん、柳葉敏郎香椎由宇、堤 真一と、もうイメージはできあがっているので、絵を頭の中に浮かべながら読んでいる。フリッツの配役を決めないと、何だか、そこだけイメージが浮かばなくて変な感じ。長髪の日独クオーター、ってイメージ湧かんな。まあ、この小説の分量を2時間くらいの映画にするのは無理だからしょうがないでしょう。一人一人の登場人物の過去からじっくり濃密に書き込む福井節は、『亡国のイージス』と同様。一人一人のキャラクターは、マンガみたいに強烈なんだけど、書き込みの濃さが説得力になっている。そこは大友克洋っぽいのかも。後、やたら”肉片”が飛び散るという表現多い?細部の描写の書き込みの割に、あの時代にこんな事を考える日本人がいたのかなあ?というところで違和感がある。頭隠して尻隠さず、世界の実情の認識の甘さ、はそうだったんだろうけど、あの時代の日本人は戦争を知っていた。このメンタリティーは、どんなに強烈な背景や戦闘描写をしようと、今の我々の感覚なんじゃないのかなあ、と思う。そこをのめり込みやすいエンターテイメント・ノベルと受け止めてのれるか、どうか?で、この先を読むおもしろさが変わってきそうな気がする。以上、読書実況中継。