「最前線物語」 1980年、アメリカ、110分

最前線物語 [DVD]

最前線物語 [DVD]

  • 監督: Samuel Fuller
  • 製作: Gene Corman、Merv Adelson
  • 脚本: Samuel Fuller
  • 撮影: Adam Greenberg
  • 音楽: Dana Kaproff
  • 出演: Lee Marvin 軍曹 / Mark Hamill グリフ / Robert Carradine ザブ /Stephane Audran / Bobby Di Cicco / Kelly Ward / Siegfried Rauch
  • 久しぶりに見返したけど、やっぱり凄い。冒頭の、兵士の死体が転がる戦場に、奇跡のように残された十字架。その足下をさまよう兵士が一人。狂った馬が突然襲いかかってきて、兵士の銃は踏みつぶされてしまう。そこへ敵兵が現れる。『休戦だ、戦争は終わった!』しかし、兵士はその言葉を信じなかったのか、ドイツ語を解しなかったのか、ナイフでその兵士を殺してしまう。壕にたどり着いた兵士は4時間前に休戦になっていたことを聞かされ、愕然とする。。。1918年、第一次世界大戦が終わる。この兵士が、リー・マービン
  • そして、第二次世界大戦ヴィシー政権下の仏軍の守る北アフリカ海岸への上陸、戦車の中の出産、花飾りの鉄帽、Dデイのパイプ爆弾、ベルギーの精神病院、と、次から次へと熾烈なありのままの戦争が描かれる。一貫したストーリー(本当はそんな物、戦争の現場にある筈はないのだろうが)を描くと言うよりも、オムニバス的というか、次々と描かれていく。全体を構成するストリーなど無いようなもので、兵士は生きている限り、戦争が続いている限り、次の戦場へ次の戦場へと駆り立てられるだけなのだが、その断片には人間の全てが含まれている。
  • あまりにも有名なサミュエル・フラーのセリフ、「映画とは戦場だ。愛と憎しみとアクション、暴力、死、一言でいえば感動だ。」、この言葉通りの映画。この「一言で言えば感動だ」という人間の生への力強い肯定が、この映画を偉大な精神の産物としている。