ドラゴンクエストの謎

 村人が魔物や植物にされていても、どんなに貧しそうな人々の街でも、町中の家という家を巡り、すべてのタンスというタンスを開けて隠された宝物という宝物を略奪しなければならない。そうしなければ、ゲームが進まないのだ。こんな横暴が許されるのは、主人公がついには平和を取り戻すから、と言う大義名分があるからだ。
 小さなメダルの王様は小さなメダルを集め続けている。それは、こうした根気の要るゲームの努力を評価する仕組みではある。しかし、何故この王様がちいさなメダルを集め続けているのか?大きなメダルというのもあるのか?王様の王国はとても小さく、王様に統治されている民衆すら出てこない。魔物の出現で苦しんでいる風でもない。自分と召使いたちだけの小さな世界の王様なのである。回りに街すらない。王様は誰の王様なのか?世界の異変に関わり合うこともなく、自分の趣味に没頭している気楽な王様なのである。なんてうらやましい立場なのだろう。今回は王様は病気だそうで、代わりに娘が小さなメダルのお姫様を務めている。こうした点にも、ドラクエの歴史を感じざるを得ない。
 毎回、舞台やシステムは変わっても、こうしたゲームの中の息抜きのゲームの設定が必ず設定されている。しかし、ゲームの中の息抜きのゲームとは一体何なのか(苦笑)?こうしたミニゲームは、たいていストーリーの中盤以降で参加可能になる。つまり、プレーヤーが行き詰まり、どうして良いか分からなくなったところで、ゲーム自体を放棄させない仕組みなのだ。大抵どこかで大きな勘違いや見落としでゲームが一向に先へ進められなくなることがあるが、そのとき現実逃避する場を用意する必要があるのだと思う。