秘録 陸軍中野学校 (新潮文庫)

秘録 陸軍中野学校 (新潮文庫)

    • この前増村保造監督、市川雷蔵主演の『陸軍中野学校』を見た勢いでさらに知りたくなり、読んでみた。わざわざ、各章ごとに解説が施されているのからしても、内容は結構怪しそうである。内容をぼかすためにわざとそうしているところもある、と解説には書いてある。とはいえ、面白い。
第1編 諜報戦の内幕(戦争とスパイ講和に負けた日本 ほか)
    • 映画にもあった英国領事館のコードブック奪取のあたりが詳しく書いてある。
第2編 陸軍中野学校の「秘密教育」(兵務局分室と海狼艦隊後方勤務要員養成所 ほか)
    • 脇道にそれた明石元二郎の話が面白い。山田風太郎の傑作『ラスプーチンが来た』*1にも出てくるが、のちには台湾総督。「謀略は”誠”なり」と言うのが、実に人を喰っている。人を欺くにはまず自分から?と言う気がしないでもない。中野学校自体はこの章が一番詳しい。
第3編 開戦前夜の南方工作(淡路町謀略事務所、マレーの虎『ハリマオ』 ほか)
    • ハリマオってこういう話だったんだ。この辺まで読んでくると、なんだか講談っぽいなぁ、と言う気分になってくる。でも、まるっきり嘘は書いていないんだと思う。
第4編 日米開戦と対外工作(開戦秘匿の『寿』無電、真珠湾に吹いた神風 ほか)
    • 満州の女スパイのあたりとか、この辺は伝聞だから、ますます講談っぽい。
第5編 戦慄の国内工作(狙われた吉田茂、吉田邸に二人の女スパイ ほか)
    • 吉田茂も、英国大使だったにしては脇が甘かった、脇を顧みる余裕がなかったということか。この辺はそのまま映画に出来るようなおもしろさ。歴史的資料としてはどうか?中野学校出身者のその後の話が多くて、学校自体の話は意外に少なかった。あのルバング島の小野田さんも中野学校の出身者だったとは知らなかった。星3つ半というところか。一読の価値はある。

太陽の黙示録」 7巻 かわぐちかいじ

太陽の黙示録 (7)

太陽の黙示録 (7)

  • 連発。ますます面白くなってくる。単行本1冊位じゃフラストレーションたまるなあ。一気に完結まで通して読みたい〜。